2012年9月27日木曜日

給費制から感じ取る 国に対する“義理”

給費制廃止で司法修習生がなんと“多重債務者”に 今こそ議論すべきは「弁護士の一分」|弁護士界の憂鬱 バブルと改革に揺れた10年|ダイヤモンド・オンライン
給費制から感じ取る
国に対する“義理”

 なぜ給費制という制度で、国が弁護士を育てていたのか。それは、弁護士が法治国家の要となる人材だからだという考えに基づいていた。最終的に、国民の権利を法に基づいて国家権力から守るのは弁護士だ、ということなのだ。弁護士も、給費制という制度からそのメッセージを受け取っていた。多くの弁護士は「税金で育ててもらったから、国に義理を感じている。弁護士になったら、その義理を果たしたい」という気持ちを持つ。

 冒頭の種田弁護士のような弁護士たちが、手弁当でカネにならない事件を引き受け、依頼者のために汗をかいていた原動力は、こうした義理の部分が大きい。

 貸与制になった今、司法修習生は義理もなにも感じることはない。そのため、モラルハザードが起きつつあるという。法治国家の担い手という意識が希薄になり、「国や国民から見放された」と感じ、まじめに修習に取り組まない者もいるという。

 いま心配されているのは、借金まみれで弁護士になった新65期以降の弁護士のなかには、カネになる事件しか受け付けない輩がでてくるのではないかということだ。そうなれば、福島第一原発の被災者のように、経済的にも精神的に弱い立場に追いつめられた人たちの権利を守ることは、難しくなるのかもしれない。